・用 途

アミノ基保護剤 DIAOC®
(Di-tert-amyl dicarbonate)
  • DIAOC®の主な用途としては大きく分けて次の3つが考えられます。

    1. 医薬品合成


    2.   DIAOCにより誘導されるAOC基は、BOC基とほぼ同様の性質を持っているため、 BOC基が優れたアミノ酸等のアミノ基・ヒドロキシル基保護基であるのと 同じく、AOC基も優れた保護基です。 さらにAOC基はBOC基よりも炭素数が1つ多いため有機性が強く、BOC基では 対応しきれなかった長いペプチド等でも有機溶媒等に抽出することができます。このことから、DIAOCはDIBOCよりもさらに幅広いペプチド合成 (ペプチド医薬品合成) が可能です。


    3. エレクトロニクス材料


    4.   主に半導体集積回路用化学増幅型レジスト (注1) に利用可能です。 ポリヒドロキシルスチレン等のベースポリマーの保護剤としての利用だけでなく、添加剤として用いられるプロトン中和剤にもAOC誘導体が利用可能です。


    5. その他一般低・高分子有機合成全般


    6.   カップリング反応等、分子内のアミノ基、ヒドロキシル基に対する反応制御のため、利用することができます。


      (注1) 化学増幅型レジストとは、BOC基やAOC基などでヒドロキシル基が保護されたポリヒドロキシルスチレン等のベースポリマーと光酸発生剤、 その他の添加剤を混合した組成物のことです。 この組成物はもともとアルカリ不溶な性質なのですが、紫外線を照射することにより、紫外線の当たったところは光酸発生剤が分解して酸が発生し、 この酸によりBOC基やAOC基が切断されることでアルカリ性可溶となります。マスキングをして紫外線を照射する部分としない部分を分けることにより、非常に微細なパターンを形成させることができます。